energy note

色々と勉強中なので備忘録として。

マルチ出力スイッチング電源(激安中華)分解ネタ

特に電源に詳しくもなく、興味があるわけではないのに・・・立て続けに電源ネタを投稿することになるとは。
まぁいい経験&備忘録になるかな。

水耕栽培機材の電源周りを整備してて、無負荷でも部分的に発熱してて気になってたので、電解コンデンサネタもあったことから分解しました。
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よく見る簡素な構成です。しかしこの電源、5V8A・12V7A・24V5Aが取り出せるマルチ出力電源でして、5Vはラズパイやセンサー類、12Vはファンや制御系、24VはLEDランプ用、と非常に使い勝手良い電源なんですよ。
しかし熱が気になるところ。ヒートシンクではなく、ケースの一部が熱くなります。
とりあえず、電解コンデンサは例の「Dongbaohe」ではありませんでしたw(良かった
電解コンデンサを測定してみると高いESRでもないし容量抜けも無さそうですし、コンデンサは特に気にならなさそう。
発熱の原因を探ってみると、この負荷にぶら下がっている抵抗が発熱していることが発覚。120℃前後の発熱を確認。
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なぜわざわざ負荷に抵抗を接続してエネルギー消費する意味があるんだろう・・・ましてや100℃超えの120℃・・・
調べてもわからず、とりあえず「スイッチング電源設計基礎技術(前坂氏・町野氏著)」をポチってしまう。
色々単語変えてぐぐってたところ、まさかの一致するような解説を発見!
https://www.cosel.co.jp/technical/qanda/a0004.html

メイン出力の負荷電流が減少した場合、各巻き線に発生する電圧が低下します。従いまして、3端子レギュレータ等への入力電圧が不足し、結果、出力電圧が低下しますので、最低電流が必要となります。
最低電流が不足する場合には、ブリーダ抵抗等により、出力電流値を確保して下さい。
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(COSEL社Q&Aページより引用)

なるほど?ようは少しは電流流してないと電圧が保てませんよ、と?回路図とほぼ同様な構成であったので、このブリーダ抵抗に相当する部品でしょう。
(中華電源にはもちろん3端子レギュレータや電圧を監視しているような回路はありませんでしたが)
しかし、常時通電している電源で常に120℃の発熱部があるのは怖すぎるし電解コンデンサにあまりにも近接していて寿命にも大きな影響を与えそうだし。勝手に抵抗値をいじって上げてみるのも手でしょうか?
現状は秋月の100円の小型ファンで冷却して使っていますが。

この電源、電圧がふらついたり色々と疑問点もあったので、負荷をかけて電圧がどのように変化するか見てみました。


5V出力
負荷電流[A]
5V側電圧[V]
電子負荷画面上
12V側電圧[V]
テスター測定値
24V側電圧[V]
テスター測定値
0.0(無負荷) 5.33 12.31 25.45
1.0 5.27 12.92 26.93
2.0 5.21 13.40 28.10
3.0 5.15 13.81 29.08
4.0 5.09 14.14 29.94
5.0 5.04 14.48 30.71
6.0 4.95 15.11 32.30
7.0 4.89 15.33 32.89

なんということでしょう。

12V出力
負荷電流[A]
12V側電圧[V]
電子負荷画面上
5V側電圧[V]
テスター測定値
24V側電圧[V]
テスター測定値
0.0(無負荷) 12.31 5.33 25.45
1.0 11.74 5.33 25.49
2.0 11.57 5.33 25.91
3.0 11.43 5.32 26.51
4.0 11.28 5.32 27.38
5.0 11.17 5.32 28.49
6.0 11.04 5.32 29.63

なんということでしょう。

24V出力
負荷電流[A]
24V側電圧[V]
電子負荷画面上
5V側電圧[V]
テスター測定値
12V側電圧[V]
テスター測定値
0.0(無負荷) 25.45 5.33 12.31
0.5 24.37 5.33 12.34
1.0 23.80 5.32 12.43
1.5 23.30 5.32 12.54
2.0 22.76 5.32 12.73
2.5 22.14 5.32 12.98
3.0 21.53 5.32 13.39
3.5 20.92 5.31 13.82
4.0 20.16 5.31 14.24
4.5 19.52 5.31 14.70

なんということでしょう。
5V出力部以外全然スペックを満たす気がありませんね・・・
特に5Vに負荷をかけたときの数値がひどい。24V→32Vってなんすか。
電圧が上がった分負荷がつながると電圧が下がるからOK的な?ww電子負荷1台しかないのでこの辺のチェックが難しい。
24Vの負荷をかけたときなんて自身が20Vを下回るという。
(自分が知らないだけでこれがマルチ出力タイプの特性なんでしょうか?)
回路を追いかけると5V部に電圧調整のフィードバック回路?が接続されているようなので、この辺の改造や調整が必要そうですね・・・
たまにラズパイに「Low voltage」の表示がでたりしましたが、電源側ではなくて他の部分に原因がありそうですね。

もうまとめると「中華激安スイッチング電源はスペック通りに出力されるのはラッキーで、基本的にスペックを満たさないので、特にマルチ電源なんか買わずにそれぞれの電源を用意しましょう。しかもそのそれぞれの電源もカスタマイズが必要な可能性大で部品も用意しなければなりません。また、できればオーバースペック気味の電源を購入しましょう。」でいいでしょうか?


大富豪になったら、日本製の高性能スイッチング電源で電子工作するんだ・・・

こんな記事も発見しました。
www.analog.com